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Archive for the Category "ビジネスと人"

第一生命にかかわる人がわからない 9月 05

第一生命で、また保険金不払いが発覚したそうだ。

2007年に明治安田生命から始まった不払い事件で金融庁の指示以来、何度となく不払いを繰り返す。
日本の大半の生命保険会社が「相互会社」という特異な会社である理由は、生命保険とは互助の精神に基づき、必ずしも利益をあげなければならないということはないだろう、というところから来ている。実は戦前はほとんどの保険会社が株式会社だったのだが、長期的利益保護ということで相互会社になったのであった。
にもかかわらず、第一生命が株式会社となったというのは、掛金を取って保険金を支払うというサイクルで利益を極大化するという約束をしていることになる。株主がいる以上、株主に最大の利益を提供するよう努力するのが、資本主義社会である。それゆえ理論的には、何度でも不払いは起きると思ってる。だって、保険金集めたらできるだけ払わないようにするに決まってるじゃないの?

これだけ不払いがおきて、なお、生命保険を預けている人って資産がどうなっても死んだ後のことだからいいや、ってことなのかなぁ。わからない、その1。

一方、株価はここを見ればわかるとおりずーっとなだらかな右下がり。

なぜか?とにかく、保険って業態ゆえ、財務諸表を普通に見ると魅力がないように「見える」。資産の大半は保険の支払い準備金であり、純資産はほんの少し。製造業の他社と数字だけ比べたら、ひどいもんである。仕方ないんだけどね。

だから、そうそう上がるわけはない。わけもわからず、第一生命の株を購入した自称「一般投資家(証券会社のカモ)」は、第一生命が株式会社化するどこに魅力を感じたのか理解に苦しむ。わからない、その2。

マネージャのやるべきこと 9月 01

日経ビジネスオンラインに「第10回 それでは「権限委譲」ではなく単なる「丸投げ」です」で、権限委譲について論じているが、逆に最低限、マネージャがやらないといけないことを端的に示してくれています。
権限委譲を英語でエンパワーメントといっているが、外資系ではデリゲーション(delegation)といいます。(豆知識)

「任せたからね。自由に考えられて行動できていいでしょ。その代わり結果だけは頼むよ」それって一種の詐欺なんですよねぇ。うまくいけば、俺の成果。失敗すれば部下のせい。いいとこどりをしていることにお気づきにならない。
じゃ、なぜいけないのか?具体的理由をこの記事はきちんと説明してくれています。

  1. 考え、行動するための基準が明示されていない。
    逆にいえば、示せない。できないことを隠すため「まかせた」という
  2. あらかじめ、評価が約束されていない
    うまくいった場合、成果を横取りするため約束しない
  3. 適切な人選・目標・権限がない
    自分はリソースをかかえ、人に渡さない。口だけ「まかせた」という

「仕事は成果さ」とうそぶいてノーコントロールのマネージャは、私の身近にもいます。マイクロマネージメント(箸の上げ下げまで文句をいい、人を鬱病に追い込む小心者)よりはましですが、困った問題が起きると「おまえにまかせて、自由にやらせていたのに」と逃げる。仕事はプロセスも大事です。

部下に目標を示し、適切にガイドし、リソースを割り当て、チームとして成果を喜ぶ、ということを何年も続ける、というマネージャの仕事は、もうおわかりのように、人間としての力が必要です。部下としては、そうじゃないタイプの人が上司なら仕事をまかせられちゃいけないんです。

ミスや不達成におびえるような小心者は本来、マネージャになっちゃいけないんです。

おじさんマーケティングに足りないもの 8月 31

牛丼が「価格破壊第2幕」に入っているのだそうだ。

前回のiPod, Walkmanの売り上げと同様、グラフがあるから正しいとは限らない典型の話に読めた。と、同時におじさんが語るマーケティングがどうして若者から見るとくだらないかもわかる。

牛丼が250円になったから、ファミレスなどにいかなくなったのではない。その証拠にこの記事で安い、安いといっているマクドナルドの価格をあげてみる。ビッグマック(320円), クオーターパウンダー(360円), チキンフィレオ(290円), フィレオフィッシュ(270円), チーズバーガー(120円), マックポーク(100円) といったところか。

牛丼に比べれば、ずいぶんと高い。でも、子供をふくめてみんないく。が、子供は牛丼屋ではめったに見かけない。ここに大事なことがある。客の年齢層の違い

次に、この間、バーコー丼に書いたように、吉野家は牛丼以外の商品はほとんど手抜き商品である。主力の牛丼も肉がない。もう、牛丼単品の店に、消費者は飽きているのである。すき屋はたくさんファーストフードの店をもっているだけに、そのあたりをがっちり認識している。最近は、もっぱらカレーの宣伝をやっている。エライ。

松屋は実は女の子が好む。なぜなら、揚げ物がなく、最近の鶏五目飯のようなヘルシーなものを提供する。

かように、「牛丼屋」といっても牛丼だけを売っている店はすでにないのである。金がないからって牛丼を毎日食ってると、体臭が牛丼臭くなるんだよねぇ。

こういうことは、ファーストフードを生活の一部としていなければわからない。いいもの食って「経営コンサルティング」なんてやってる現場を見ない人間にわかるわけがない。

みなさんがご存知の「価格コム」という価格比較サイトがある。創業者はとうの昔に引退しているが、槙野光昭という方で、アキバにおろすメーカーの一営業だった。コツコツと足で拾ったデータをサイトにアップしていたのである。当初の価格コムの評価は、「経営コンサルタント」達は今は忘れたふりをしているが、「そんなイレギュラーな価格情報は意味がない。主力の大手量販店などが価格を決定する」というエスタブリシュメントの仲間内が権力をもつ、と主張していた。が、いまや、モノ(とくに電気製品)を買うとき、一応でも価格コムをチェックしない人間はインターネットを使わない人々以外、考えられないだろう。売る側も価格コムからのクリックを主力にして商売している会社がいくつもある。

机に座って、誰かの都合にいいように加工されたデータをいくら眺めていても、実態と未来は到底、浮かび上がってこないのである。だから、おじさんのいうマーケティングはピントがはずれていて嫌われるのだ。
現場第一主義を自分自身をふくめ、忘れたくないものである。

経営を神殿に飾っておきたい人々 8月 24

「経営」とは神殿にあり、MBAやコンサルティングファームにいた神官でないと触るべきでない、神聖不可侵であるという幻想。

日経ビジネスオンラインに「経営のプロが足りない」というマッチポンプ記事の連載がある。 なんでマッチポンプかというと、この連載書いているご本人が絵にかいたような旧態依然としたMBAを取り、コンサルティングファームにいた人で、「経営のプロ」を移籍させて金儲けするヘッドハンターが生業だから(笑)。

私は経営のプロというものが存在するとしたら、アメリカにあるようなスーパーラージエンタープライズカンパニーだと思う。GMとかIBMとかコカ・コーラとかマクドナルドとか。
世界のトップ10に入る会社って、トヨタ自動車とか日本郵政で各々、特殊事情があり、横からの「経営のプロ」は必要ない。大前健一みたいなスーパーコンサルタントの「企業参謀」は必要だろうけど。
すでにMBAの教官であった、大教授ミンツバーグは、「MBAが会社をほろぼす」(邦訳あり:日経BP社)という本まで書いておられる。
MBAが会社を滅ぼす マネジャーの正しい育て方

マッチポンプ記事を書いている人が「経営のプロ」がかかわって成功したと持ち上げている企業は東ハト、ダイエー、カネボウ、福助である。しかし、ここに神戸大学の先生の書いた論文があり、ダイエー、カネボウの再生方法についての不透明さと公的機関としての疑問を述べておられる。
梨下に冠をたださず、ということわざがあるが、企業再生において多くのファンドが暗躍し、「ハゲタカファンド」という言葉が巷で流行ったことを記憶されておられる方も多いだろう。ファンドがきちんと事業を育てた例など、むしろ稀である。会社を適当な理由つけて売ったり買ったり、マネーゲームしかしない。
実は産業再生機構にいた人々のその後を調べてみたことがある。ほとんどが、ファンドにいる。地道に企業を経営している人など私が調べた限りはいなかった。
日本でいう「経営のプロ」とは、金融機関とコンサルティングファームの村でお互いを紹介しあって業績そっちのけで高い給料をかすめとる、プロ市民と同類の意味でのプロということではないのだろうか?成功率は30%程度(それも本人の力ではないだろう)だとうそぶいていていいのか?残りの70%は給料ドロボウではないか。普通の社員のほうが、はるかに厳しい責任の取らされ方をする。

こんなことを書いているのは、10年前に知ったベンチャーキャピタルの中堅が、また俺の知っている会社の経営者の無知につけこんで、甘い汁を吸おうとしている、こともあるからである。

世の中には事業計画をきちんと作ったことのない、ベンチャー社長、経営企画、新規事業部部長などがゴロゴロしている。そういう人達は、有名なベンチャーのいい話しだけを鵜呑みにし、簡単に出資してくれる人がいて、簡単に成功できると信じている。事業はリスクの高い、泥臭いもんだということを知らないまま成長してしまっている。そこに「出資者を紹介します」とか「IPO目指しましょう」とか、絶対に無理なのに顧問料を掠め取りにくるファンドとかコンサルというのはいくらでもいるのだ。彼らからすると、不動産屋同様に、年に2件も騙せれば左団扇の生活なのである。

こんなご時世でも生き延びていられるくらい、騙されるヤツはいくらでもいるらしい。ハァ。。。

だから、こういう連中は「経営」を神殿に置いて、仲良し村を壊されたくないのである。

以前から再三書いているとおり、「経営」はバーのママも八百屋のおじさんも知っている。神殿に祀るようなものではない。とくにビジネスモデルが崩壊している場合、理論的な答えはない。
今の日本に必要なのは、新たな創業者だと思う。

セブンアンドワイ・ホールディングス 8月 18

といえば、伊藤敏文。本もいっぱいお書きである。

古来、「経営者は本を書いたら、そこで終わり」という言葉がある。周囲のお追従おべっかを信じて、「俺のいうことは、正しい」と自惚れてしまったら本を書いてしまう、ということである。ダイエー、IBM、富士通、ヤオハン、そごう、カネボウ、ライブドア、などなどブックオフに行くと無残な本だらけである。どの本もいかにその企業がすばらしく、磐石なビジネスモデルを築いているか説明してくれている。

この伊藤さん、セブン・イレブンの賞味期限切れ弁当問題とかではいっさいコメントしないで子会社任せ。ここ数日、新聞はイトーヨーカドーうなぎ偽装問題で連日賑わっているが、こういう時は知らん顔。

本を読んだらわかるが、普段は子会社にものすごーく介入している。結果、いいことばかり起きている。が、起きた不祥事は彼のせいではないのである。

これが、立派なことをいっている企業の実態である。

とここまで書いて読み返してみたら、まるで伊藤敏文はたいしたことない、と読める。すまん。文章力がない。

俺がいいたいのは、どんな企業でも儲かっていれば世間は「立派な会社です」という。あのライブドアが全盛のころ、「こんな儲け方は絶対におかしい。経営者はそのうち捕まる。」といったら「あんたにあの株主総会の熱気がわからないでしょう。ビジネスとかいってても一向にあんた儲けられないじゃない」と罵られ美人の友達なくした。(笑)

それくらいどんな手段でも儲かっていれば、世間はその会社が正しいことをしていると思い込む。問題をかかえていても「立派な会社」と呼ばれるんです。どこかに軋轢が起きていて偽装問題なんかが起きる。逆に問題がない会社なんてあるわけがない。あるとしたら人が働いていないペーパーカンパニーでしょうね。

いったい、どこの従業員が自ら危ない橋を喜んで渡るだろうか?達成せざるを得ないノルマとか、監視とか、があるから思いつめてやる。結果、表沙汰になると企業は必ず「組織だっての犯行ではない」という。

この表現は、いつも使われるが、使っている広報室かなんかはバカだと思う。
たしかに汚職なんてのは個人が利益を得るから「組織は関係ない」は理解できる。会社は被害者だし。
が、今回のような偽装事件を引き起こして、当事者の社員はなにを得するのか?せいぜい、ボーナスがついたとか、昇進したとか、ゴミみたいな褒美に対して、有罪になり犯罪者の烙印を押され、懲戒免職だろう。払う代償はあまりに大きい。

社員が個人的利益を得ないのに犯罪に走ったということは、組織に温床があったことは間違いないではないか。その反省はない。その無神経さが、「組織は関係ない」

それは、「この会社はものすごく強引に社員にノルマを課すけど、問題が起きたら従業員を切り捨てる会社です」といっているのに等しい。

サラリーマンのみんなは、だからこの「組織だった動きではない」を読むと強烈な違和感を感じているはずだ。しかも、この作文をした人間自体が同じサラリーマンのはずである。だから、「バカ」とあえて書いたのだ。

こういうのがAppleのダメなところ 8月 09

だと思う。

Engagedの記事で、iPhone4のハードの責任者がクビになったそうだ。

ワンマン企業では、よくある話。でも、その企業の人材の層の薄さとワンマンが倒れた時の脆さをしめしている。

水平分業か垂直統合か 8月 02

Andoroid搭載の中華製iPadといわれる、APadをヤフオクで売却した。
理由は、一言でいうと「iPhone,iPadに比べたら、あまりにもおそまつ」
巷ではAndoroidは家電業界の救世主にでもなるかのような書き方である。AndoroidでiPhoneのようなものをつくろうとすると、まだ、3年かかるだろうと思う。

にもかかわらず、「グーグルが変える電機業界」なんてことが、また言われている。まだ懲りないのかな。今、我々が使っているパソコンを思い出そう。中身はすべて規格化されており、プラモデルのように簡単につくれる。WindowsはMicroSoftさんから買ってくる。簡単に動く。

こんな差別化できないもの作ってコストダウンの戦いに明け暮れる世界が、家電業界が望む素晴らしい世界なのだろうか?MicroSoftだけが勝者だったのではないだろうか?

それでiPhoneに勝てると思っているのだろうか?iPhoneよりもiPadのほうが一部で有名だったが、内部のパーツによる省電力とiPhoneOSによる省電力の使い分けが秀逸なのである。それをあの値段で出したからこそ、似たようなものをつくろうとしていた会社は一斉に一年以上、先送りにしたのである。(記事はここ

また、iPhone,iPadがユーザーに好まれるのはどの動作も一貫したUIでできているからではないだろうか?一般のケータイ(ガラパゴスケータイ=ガラケー)を使っていて機能ごとに微妙に使い方が違っていたりしないだろうか?これこそ、縦割りで外注にソフトをつくらせた結果である。

Appleの売るノートPCはほとんどが、蓋を開けて数秒で使い始められる。残念ながら特別にチューンしたWindowsでしかWindowsのノートPCでそんなものを見たことはない。これもハードとソフトの棲み分けが一社でコントロールされているから。

ジョブズがpodcastの対談でいっていることは極めてシンプルである。「消費者にとっていい製品を出したい。消費者のの判断は極めて単純だ。いい、か、悪い、かだけだ」

パソコンは水平分業でここまでやってきた。が、生き残った会社は数社である。それも機能で生き残ったわけではない。サプライチェーンなどのコストダウンで生き残った。

家電が水平分業でやるのであれば、また同じ戦いをやることになり、一方で垂直統合で一貫したものを作り続けるAppleはベンツといわれることだろう。

最後に断っておくが、Androidがダメといっているのではない。Androidを使ってモノを作る時、一貫性を誰がコントロールするのかが製品としての鍵だ、といっているのである。Appleはすでにそれが出来ている。

マルクス経済学? 7月 28

この間、社会人大学に行ってるヤツがマルクス経済をやるだの、やらんだのいっていた。
経済学士としては、俺は驚愕!
20年以上前に、俺が経済学部の学生だったころは、近代経済学とマルクス経済学の両方が必修だった。が、マルクス経済学はいくらマルクスが天才の誉れが高かろうが、おかしなことだらけである。

例えば彼の主張は労働者は労働時間を使って労働価値を創出する。労働価値-労働時間賃金が搾取されている、と主張する。

この考え方がおかしいのは、今の日本を見れば明らかだ。価値がどんどん減っているから労働賃金は押さえられてしまっている。商品の価値は労働力とはまったく違うところで決まる。
アダム・スミスの古典派経済学も同様の誤りをおかしているが、そもそも一物一価にはならない。たとえば、ガムひとつとっても駅構内のキオスクでは定価であっても、スーパーに行けば安い。ビール一本とっても、スーパーで買うのと、六本木のキャバクラで飲むのでは値段が違う。
輪ゴムが動物の形になっているだけで、ドエラい売れ方をする。いずれ、飽きて売れなくなる。商品の価値はそれが創りだされる労働力とまったくリンクしないのである。

もう一点、上の議論がおかしいのは、製造機械を入れて生産性を上げるとどういうことになるか、という考察がない。もともと「労働者は搾取される一方の気の毒な人々なんです。」という暗黙の前提で議論が開始されているから、見方が偏るのである。

あんな世の中を見るのに不自由な経済学をいまだに学校で教えるのは、いかがなものかね。経済学史として、マルサスとかリカードとかの主張と同列で十分だと思うのだが。